映像制作ブログ
2026/08/14
【実践レポート】CM制作の「色」をAIで決める。生成AIを活用したカラーグレーディング新手法
CM制作において、
映像の印象を直感的に決定づける重要な工程が
「カラーグレーディング(色補正・色演出)」です。
しかし、この工程には「絶対的な正解がない」
という大きな悩みがつきまといます。
そこで、この悩みをAIの力を借りて解決できないか…と考え、
新しい手法を試してみることにしました。
工程としては、ChatGPTに見本画像となる
「ビジュアルリファレンス」をいくつか出力してもらい、
その中から好みの見本を選択。
さらに、その色味に近づくための
「ノード構成のレシピ」を書いてもらい、
その手順に沿ってカラーグレーディング(以下、カラグレ)を行う、
というアプローチです。
1:画像生成AIで
「ビジュアルリファレンス」を量産する
まずは、Log撮影した風景の元画像[図01]↖︎を
ChatGPTにアップロードし、
これをベースにサンプルの完成形を生成してもらいました。
「朝の風景で」「シネマ調でドラマティックに」
「太陽をオレンジ色に強調して、レンズフレアも派手に」
「Kodak2383のプリントフィルムで補正された質感を目指して」
と具体的にプロンプト(指示文)を入力し、
まずは1枚の画像を生成します[図02]→。
さらにそこから、
「サンプルとして他のフィルムルックの画像も提案して」と依頼し、
比較検討できるよう複数のビジュアルリファレンスを
生成してもらいました[図03]←。
これにより、言葉だけでは伝わりにくい「目指す色」を、
チーム内で視覚的に共有できるようになります。
2:生成AIに「ノード構成のレシピ」を書いてもらう
ゴールが視覚化できたら、
複数のサンプルから自分が目指したいルック(色調)を選び、
それをDaVinci Resolve上で再現する作業へと移ります。
ChatGPTに対し、「このサンプルのルックをDaVinci Resolveで作るための、
ノード構成のレシピをステップ・バイ・ステップで教えてください」と質問しました。
すると、単なるツールの使い方ではなく、
論理的な意図を持った以下の9つのノード構成と、
細かなパラメーターの設定値を詳しく教えてくれました。
・01 INPUT CST
・02 BALANCE
・03 EXPOSURE / CONTRAST
・04 BASE COLOR / DENSITY
・05 GREEN DESIGN
・06 SKY DESIGN
・07 SUN / SPLIT TONE
・08 FILM TEXTURE
・09 OUTPUT CST
3:果たしてレシピ通りの作業で再現できるのか?
実際にこのChatGPTのレシピに従って作業を進めてみました。
結果としては、AIが生成したサンプル画像には
元画像にはない「雲」が描き加えられていたり、
草原の光の反射がかなり誇張して作られていたりしたため、
色をいじるだけではサンプルとそっくりそのまま
同じ結果にはなりませんでした[図04]←。
しかし、AIが決して当てずっぽうな指示を出しているわけではなく、
選んだサンプルの質感を再現するための「基本の道筋」を
最短ルートで提示してくれているように感じました。
このベースとなるレシピに、
上級エディターの腕(微調整や部分的な処理など)が加われば、
さらにサンプルに近づけることも十分に可能でしょう。
ちなみに、レシピ通りにカラグレした画像に、
AIサンプルの「雲」を合成してみたところ、
いい雰囲気の画に仕上がりました[図05]→。
今回の検証を通して、
AIはカラーグレーディングの優秀なナビゲーターになり得ると実感しました。
生成AIの進化によって、カラーグレーディングのベース作りが
自動化・効率化されるようになるのも、時間の問題かもしれません。
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